(4) 「メタ坊」になりたくない
「うえしたジャンプです。最初は五回します」。保育士さんの掛け声に約三十人の園児たちが足を前後に開いて跳びはねた。左足を前、右足を前、交互に繰り返し、手は上でぱちんと鳴らす。
「上手よ、上手〜」。さあ次の運動だ。
「それではトントン・パーいきます」。園児は「トントンパー」「トントンパー」と声を出してリズムよく一斉に跳ねる。手を腰に当てて二回ジャンプ。三回目の着地で足を開いて腰を落とす動きを五回繰り返した。
保育園の園児たちは、毎週三回、肥満解消を目的とした五本分ほどの運動プログラムに取り組む。
「“メタ坊”を減らしたい」と園長。昨年四月から八ヵ月間続けた五歳児クラスの場合、肥満度が低下するなど効果が表れた。
このプログラムを開発したのは特定非営利活動法人(NPO法人)青森県健康・体力づくり協会。県は文部科学省の2007年度調査で、身長別の標準体重などから割り出した「肥満傾向児」の出現率が六歳から八歳などで仝国トップになった。「県内では子供の肥満が目立っており、保育園などでプログラムを普及させたい」(理事長)という。
同県に目立つ子供の肥満には風土に根ざした様々な要因がある。
同県では「もともと移動に車を使い、歩くことが少ない。雲におおわれる冬場は特に運動不足に陥りやすい」とのこと。歴代の名力士を輩出した相撲どころとあって「大人がぽちゃぽちゃの子供を好む傾向もある」ようだ。
同県は料理の味付けが濃いため、主食のごはんの量が多くなりがちと指摘する声も多い。小学生の児童を対象に食事調査を実施している。「何を食べているか」「どういう味付けをしているか」。丹念な調査を続け、今後のメタ坊解消策に役立てる計画だ。
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